第495回「言葉の力」

こんにちは。千葉県私立成田高等学校出身、E類生涯スポーツコース4年の岩佐茉結子と申します。現在、女子短距離ブロックに所属しており、100mHを専門としています。この度、コラムを執筆する機会をいただき大変光栄に思います。私も気づけば4年生になり、そんな4年生のシーズンも半分を過ぎようとしています。せっかくの機会ですので、これまでの大学での陸上を振り返りつつ、その中で感じた「言葉の力」について少し触れられたらと思います。拙い文章かつ長くなってしまうかと思いますが、お時間のある方は是非最後まで読んでいただけたら幸いです。

「言葉はきらきらした魔物」
これは私が以前読んでいたとある小説に出てきた表現です。このコラムを書くためにまた小説を引っ張り出してきましたが、この文章を初めて目にした時、なんて不思議な表現なのだろうと思ったのと同時に、たしかにそうだなと読みながら思わず頷いてしまいました。言葉というのは、時に人の心の支えになることもある反面、人を簡単に傷つけることもできてしまうものでもあります。もっと言えば、人の人生を簡単に変えてしまうくらいの大きな力を持っているでしょう。だからこそ、言葉という魔物をいい魔物にするか悪い魔物にするかは、言葉を生み出す人(小説の中の表現を使うのであれば、操る人)次第といったところになるのでしょうね。これ以上言葉について深掘りすると哲学的な方向に行ってしまいそうなので、この辺でやめておきます。(笑) 難しい話は置いておいて、実際にこれまで生きてきた中で、言葉の力を実感したことのある方は多いのではないでしょうか。

私もその1人です。

ここで少し、私のこれまでの大学陸上生活を振り返りながらお話させていただくと、大学入学後から今日に至るまで、言葉で表すなら「成功」「失敗」「挫折」「挑戦」を経験できた良くも悪くも充実した陸上生活を送ってきたと思います。大幅PBを更新できて喜んでいたのもつかの間、練習中に右足首の靭帯を損傷して松葉杖生活を送ることになった1年目、復帰したと思いきや次は膝を痛め、その後立て続けに体調を崩して寝たきり生活を送ったことにより、シーズンをほぼ棒に振った2年目、悔しい思いを沢山しながらも途中で離脱することなく競技復帰することができた3年目、そして今年。学生としてのラストシーズンだと意気込んでいた矢先、まさかの関東インカレ1週間前に腰のヘルニアを発症し、当初は症状が重かったこともあり、薬がなければ歩くことさえ困難な状態で心身ともにどん底に落とされた4年目の始まり。思い返してみると体もだいぶやられていますが、それ以上に精神的な面で壁にぶつかることが非常に多かったように思います。特に今年の関東インカレ前に発症してしまったヘルニアは、発症してしまったタイミングの悪さも勿論ですが、関東インカレの舞台で走れないことへの悔しさが積もりに積もってしまったからか、感情の整理が追いつかなくなり、挙句の果てには自分が今どんな感情を抱いているのか、悲しいのか悔しいのかも分からなくなってしまうほどの空虚感に襲われていました。

ですが、そのような心境に陥ってしまいながらも、冷静さを取り戻してまた今こうして前に進もうと思えているのは、周りで支えてくれるたくさんの方たちから掛けていただいた言葉の影響が大きかったように思います。関東インカレへの気持ちが高ぶってしまっていた私に、今一度自分と向き合って判断するように促していただいたあの言葉。どん底に落ちていた私に友達がかけてくれた「先を見据えて頑張ろう」という言葉、「ここで終わりじゃないよ」という言葉。ここでは書ききれないほどのたくさんの前向きな言葉をかけていただいたおかげで、少しずつ気持ちを切り替えて頑張ることができています。こうした言葉だけでなく、ヘルニアへの対処にアドバイスをくれる仲間や先輩がいたり、症状を気にかけて話を聞いてくれる友達がいたりと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。普段何気なく使っている言葉によって、こんなにも気持ちは変化するのだと言葉の大切さ、力を改めて実感しました。

これから生きていく中で、時には相手にどのような言葉をかけてあげたら良いのか悩むこともあるかもしれません。ですが、もし何を言えばいいのか迷った時には、自分が言われて嬉しかった言葉や大切にしている言葉をそのまま相手に伝えてみるというのも良いのではないでしょうか。きっと自分という一人の人間の心を動かした言葉は、相手の心も動かすことができるのではないかと思っています。

ここまで長く綴ってしまいましたが、私自身これまでたくさんの言葉に背中を押してもらいました。だからこそ、最後は良い形で学生陸上を締めくくることができるように、これから先どんな困難にぶつかったとしても、望んでいる結果に繋がっていると信じてより一層精進してまいります。大好きな仲間たちとともに最後まで突っ走るぞー!!

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。