【部員コラム】第468回「強くなれる」

 失礼致します。東京都立八王子東高等学校出身、A類保健体育選修4年の高崎蒼生です。男子短距離ブロックに所属し、400mを専門にしています。9月に行われた全日本インカレの4×400mRを走り、そのレースが全力でトラックを1周する最後のレースになりました。4年間を振り返ってみて思うことを綴らせて頂きます。

「お前は強くなれる。」

 私が入学してすぐの関東インカレで当時3年生だった栗本恭宏先輩が私にかけてくださった言葉です。
 私は高校から陸上競技を始めました。高校時代のPBは400mで51.10、実績は「支部予選をギリギリで突破し都大会に出場しただけ」というインターハイで活躍したような選手が集まる学芸大で陸上競技を行うには弱すぎるものでした。強い先輩方や期待されて入学して大舞台で活躍する同期を見て強い劣等感を持っていた自分にとって関東インカレを優勝してきたばかりの栗本先輩からかけていただいたこの言葉は強く心に響くものでした。
 私は大学2年の秋に右脚の大腿直筋を肉離れし、約2ヶ月間走れなくなりました。自分は400mでは対校戦に出られない、と800mに転向し、本当に走りたい距離なのかを考えず、記録も伸ばせず、入部したときから強かった同期がさらに大きく成長していくのを目の当たりにしたシーズンの最後に起こした怪我でした。

「ただでさえ弱くてみんなから置いていかれているのに、練習もできなくなった。」

 そんな気持ちから大学2年の冬季は毎日「自分には場違いだ。」と、退部することばかり考えていました。しかし、辞めてしまおうと思うほどに栗本先輩の「お前は強くなれる。」という言葉が思い出され、ここで辞めたら先輩に合わせる顔が無いな、という一心で部にしがみつきました。
 3年生になってコロナで中々試合にも出られなくなり、どうせ大舞台も経験できずに終わる4年間なら1番好きな距離を走ろう、と思って記録会で400mに出場したところ、2年ぶりにPBを更新することができ、全日本インカレの4×400mRに補欠という形から縁あって出場させて頂きました。初めて全国大会を経験させて頂いて陸上への向き合い方や思いが大きく変わり、やっぱり大舞台を走りたい、自分も学芸大の選手として力になりたいという思いが強くなりました。気持ちの変化が結果に現れたのか、4年生になってPBと目標にしていた49秒台が出せて、関東インカレや全日本インカレといった大舞台を再び経験させて頂きました。大学2年の冬、陸上から離れていたらPBも49秒台も関東インカレも全日本インカレも全部夢のまま終わっていました。4年間、私の根底にあったのは「お前は強くなれる。」という栗本先輩の言葉でした。そして、そこに所属している男子短距離ブロックの強さを求め続ける先輩方の手厚いご指導と自分のPBや成長を心から喜んでくれる同期、いつでも刺激を与えてくれる立派な後輩たちの支えがあってここまで来ることができました。自分だけの力では決して成長することはできませんでした。
 私は、小学校の先生になることが小さい頃からの夢です。陸上競技から離れますが、ここで培ったことを必ず教育の世界で活かします。失敗したり何かにつまずいたりした児童や、逆に何かを達成して喜ぶ児童の心に寄り添えるような教師になります。
 最後に、本当に弱かった自分をここまで引き上げてくださり、たくさんの経験とかけがえのない4年間をくださった陸上競技部と男子短距離ブロックの皆さん、そして栗本先輩へ
 
 心の底から感謝しております。4年間、ありがとうございました!