第515回「これからの世代を担う皆さんへ」

平素よりお世話になっております。埼玉県立川口北高等学校出身、A類社会選修所属、中長距離ブロック4年の漆﨑広陽です。情報を簡単に収集でき、他人と比較することが容易にできるようになった今、周りからの目を気にして悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。高校時代に同じ舞台で戦っていた同級生に勝てなくなった、下級生に記録を抜かれてしまったなど、私も苦い経験をしたことが何度もあります。しかし社会に出ると、自分の選択に決まりきった「正解」というものはありません。自分が選んだ道が正解かどうかを、自分自身の行動によって変えることができます。人はピンと張った状態だと意外にも脆く、力をかけられたら折れてしまいます。だから皆さんには、柳のようにしなりながら、柔軟に対応できる強さを持ってほしいです。そのために是非、様々なことに挑戦したり、経験して視野を広く持ち、人として大きくなってほしいと思います。
私は高校生の時、くも膜下出血という大きな病を患った母親を救いたいと思って医学部を目指しました。紆余曲折あって入学した学芸大では、生命ではなくても社会で困っている人を救いたいと思う中で、社会的困難に直面する人があまりにも多く、教師として支援できることが限られていることに気づきました。そして全ての人にとって少しでも生きやすい世の中にしたい、社会的に弱い立場にある人たちをできる限りサポートしたいと考えました。そこで、いつでも、どこでも、1人でも練習ができる陸上競技の長距離で精神面を鍛え、まずは自分が人を導けるような存在になってから社会に出ようと決めました。
この部活動では、学大としてここ数年出場できていなかった箱根駅伝予選会を目指し、OBの方のリベンジを果たすという強い気持ちをもって取り組んできました。そして中長距離ブロック長として、予選会標準切りのために足りない人数を中距離や競歩などの他種目、部外の陸上同好会から募ることに努めたり、どうしたら後輩が意欲的についてきてくれるか、答えのない問いを模索しました。常にチームメイトに寄り添い、人の期待に応えられるように意識してきました。
私もこれまでの自分の選択が正しかったのかどうかは分かっていませんし、今なおこれまでの選択が正解なのかも分かりません。しかし私はこれまでずっと、自分が選んだ道を正解にしようという気持ちで道を切り拓き、突き進んできました。いつかこの道を選んで正解だったと思えるように、私自身もこれから社会人として全力で向き合い、成長していきたいと思っています。
このブログを見てくださっている皆さんにはたくさんの「可能性」があります。その中から選び抜いていくのは他でもない自分自身です。闇雲に正解を選ぼうとばかり考え、悩むのではなく、自分の選択を正解にするために考え、悩んで、目の前のことに全力で取り組んでほしいと思います。学芸大は、そんな皆さんの選択を尊重し、快く応援してくれる大学だと思います。皆さんは既に頑張ってると思うので、あえて「頑張って」というエールは送りません。自分を信じて、「正解」を探していってほしいと思います。
学大陸上部の今後のさらなる発展を陰ながら応援しています。今まで4年間、本当にありがとうございました。