【部員コラム】第465回「どうして棒高跳?」

 こんにちは。岩手県立黒沢尻北高校出身、B類保健体育専攻4年の新田英理子です。現在女子跳躍ブロックに所属しており、棒高跳を専門としています。今回このような機会を頂いたので、大学での競技生活が残りわずかになっている中、私の棒高跳への思いの変化を綴らせていただきます。
 今まで棒高跳をしてきて、「どうして棒高跳を始めたの?」と「どうして棒高跳を続けているの?」という2種類の質問をよくされました。「どうして棒高跳を始めたの?」については、父が棒高跳をやっていて弟もやっている、妹もやる予定だったからです。なので、気づいたらポールを持って走っていました。私を悩ませていたのは、「どうして棒高跳を続けているの?」という質問です。この手の質問は、もちろん好きでやっているんだよねというニュアンスが含まれているような気がして苦手でした。私は棒高跳を始めた頃からずっと、棒高跳に対してとことん受動的で、なかなか棒高跳を好きになれませんでした。家族のほとんどが棒高跳をしているという環境があったからか、棒高跳の結果がそのまま自分の評価や存在意義になっているような気持ちになり、また、兄弟が自分より活躍している焦燥感や結果を出すことができないかもしれないという不安が毎日あり、心から棒高跳を楽しむことができませんでした。なので、この質問をされたときにいつも言葉に詰まってしまい、いつか棒高跳が楽しくて好きでやってますと元気に答えられるようになりたいなと思っていました。
 結論から言うと、今は棒高跳が楽しくて好きでやっていますと元気に答えられます。きっかけは、コロナで練習が思うようにできなくなった中、1年半ぶりに全助走で踏み切れたときに「あ、楽しい。私、棒高跳好きだわ」と突然思ったことです。別にPBを出したわけでもないし、良い動きができたわけでもありませんでした。今まで頑張って続けてきたからこそ、それが生活から遠ざかって初めて、自分が棒高跳を大切なものとして思っていたのだと気付くことができました。むしろ、始めから好きだったら自分の性格上そのことに満足して、ここまで続けられていなかったと思います。棒高跳を始めて8年目にしてようやく好きになることができ、棒高跳を選択してきた自分が肯定された気がして嬉しかったです。
 今までの文章で棒高跳の少しネガティブなことを書いてしまいましたが、私が棒高跳を続けてきた中でこれだけは誇れるなと思っているのは、本当に本当に良い人達に恵まれてきたことです。今、私の周りには日々跳ぶことに勤しんでいる愉快な仲間達がいます。大学に入学し、今日も頑張って跳ぼう、練習しようと思い続けてこられたのは、練習場所に楽しさと笑いを届けてくれる、恭子、七海、涼々花、未侑の存在が大きいです。この4人と陸上をやれるのは残り少しなので、一つ一つの練習や試合を大切にして良い記録を出して、「やったー!」と喜びたいです。
 このコラムを書いていて、8年間ずっと棒高跳を教えてくれている父に感謝の気持ちが止まらなくなりました。きっと、棒高跳を好きではない娘に教え続けるのは大変だったと思います。面と向かって伝えるのは恥ずかしいので、とても個人的なことをコラムに書いてしまいました、すみません。大学最後のシーズン、そんな父にも、こんな私をずっと応援してくださった方々、大切な仲間のためにも、自分の目標を必ず達成して笑顔で報告ができるように頑張ります。そして、これからも、私は棒高跳が楽しくて好きでやっているということに誇りを持ち続けたいです。
 長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。