【部員コラム】第466回「憧れのオリンピック」

 こんにちは。生涯スポーツコース4年の久保木春佑と申します。跳躍ブロックに所属し、走り高跳びをしています。この度、コラムを書く機会をいただきました。貴重な機会をいただき大変光栄に思います。
 それではまず、自己紹介をさせていただきます。僕は子供の頃から体を動かすことが大好きで、小学生時代は野球少年でした。中学から高跳びを始め、バーの上でフワァっと浮く浮遊感にはまり、これまで約10年間続けています。出身は鹿児島県で、常に僕の周りには美味しいもので溢れていました。黒豚や黒牛、新鮮な野菜や魚などがたくさんある素晴らしい県で育ったので、食べることが大好きになり、今では高跳び選手とは思えないぐらいゴツすぎる体型になってしまいました。よくゴリラと言われています(笑)
 そんな僕ですが、中学生の頃から抱いている夢があります。それは、「オリンピックで活躍する」ことです。ちょうど今年はオリンピックが開催された年でもあるので、「憧れのオリンピック」というテーマでコラムを書かせていただきます。オリンピックを目指す途中で挫折を経験し、そこから学んだことがあるので、それを皆さんにお伝えできたらと思います。最後まで読んでいただけると嬉しいです。
 僕は中学1年生から走り高跳びを始めました。中学生ですので、体も技術も未完成で、練習をたくさんすれば記録が簡単に伸びていきました。練習をするのが楽しくて、朝練、部活、夜練を毎日欠かさずしていました。その成果もあり、中学3年生では念願の日本一になることができました。日本一になってからは夢のような生活が待っていました。地元のテレビにたくさん出演したり、写真を求められたり、サインを求められたり…。オリンピックも視野に入れ、メディアに出るたびに「東京オリンピックにでます!」と力強く答えていました。この時は、自分が芸能人になったような気分で、毎日がすごく楽しかったです(笑)。自信満々なまま高校に進学し競技を続けました。「インターハイで優勝して、もう一度日本一になるぞ」と心に決めて…。しかし、思い描いていたことと全く違う未来が待っていました。中学で62㎏だった体重が高校では72㎏に増え動きのキレがなくなり、中学の時に勝っていた友達に負ける恐怖で、記録が全く伸びなくなりました。少しずつ自信がなくなっていきましたが、自分の可能性を信じ、結果が出せる方法を自分なりに考え、様々な方法を試してみました。跳躍スタイルを変えたり、練習の量を倍にしたり、食事を減らしたり、減量用のプロテインを飲んだり、通学中の電車で2時間片足立ちをしたり(トレーニングのつもりです、、、)…。しかし、全く記録は伸びませんでした。陸上に全ての時間を注ぎ込みましたが、優勝を目標にしていたインターハイは、記録なしで最下位でした。この時は、真面目に努力しても報われないと本気で思いましたね。さすがに、自分に自信を持てませんでした。
 そんな中、進路選択の時期を迎えました。競技を続けていいのかわかりませんでしたが「ここまでやってきたんだから、あと5㎝でいいから高く跳びたい」という思いがあり、大学でも続けることにしました。「高跳びを楽しみ、4年間だけ全力で頑張る。高校でのことを忘れ、気楽な気持ちで競技に打ち込む。」環境の変化が、競技への考え方を変える良いきっかけになればと期待して…。すると、入学してすぐの記録会で2年ぶりの自己ベストを更新できました。久しぶりの自己ベストだったので、ものすごく嬉しかったです。それから毎年のように記録を伸ばしていき、4年生になった今年は、日本選手権にも出場することができました。自分でもびっくりしています。なぜここまで上手くいったのか考えてみると、やはり、高校の時に諦めず努力し続けたこと、大学進学をきっかけに競技への考え方を変えたことが結果を出せた理由だと思います。今では、昔の自信を取り戻しつつあります。そして、「オリンピックで活躍する」という中学の時に抱いていた夢が、今の僕の目標になっています。
 長くなりましたが、ここまで僕の競技人生について書かせていただきました。辛い時期もありましたが、今はとても幸せです。紆余曲折してきた競技人生で、多くの教訓を得てきました。その中で、僕が一番大切だと思うことは、「辛くても、なりたい自分があるなら、全力で努力する」ことです。思い描く理想の自分に向かって、本気で努力しても結果が出ない時があります。その時は、辛くて、悔しくて、努力している意味が分からなくなったり、諦めたくなったりすると思います。しかし、そこで踏ん張り、自分の可能性を信じ、理想の自分をイメージしながら努力し続けることが大切です。上手くいかなくても、全力で努力を続けていれば、ちょっとしたきっかけで不調を抜け出し、理想の自分に一気に近づきます。そのきっかけは、環境の変化だったり、新たな恩師との出会いだったり、素晴らしい仲間との出会いだったり…。本気で努力を続けていれば、理想の自分に近づくチャンスが必ず訪れます。

「辛くても、なりたい自分があるなら、全力で努力する」

これが10年間競技をしてきて学んだことです。この教訓があれば、これからの人生で起こるどんな困難も乗り切れると、確信しています。僕のこの教訓が誰かのためになれば嬉しいです。理想に向かって努力し続ければ、きっと幸せな未来が待っています。最後まで読んでいただきありがとうございました。