第511回「スポットライトの裏側で」

失礼いたします。法政大学附属第二高等学校出身、A類保健体育選修の早乙女南月と申します。男女投擲ブロックに所属し、ハンマー投げと砲丸投げを専門にしています。女性でハンマー投げを専門とする選手は多くないため、本来であればその魅力をお伝えしようと思っていました。けれども今日は、この場をお借りしてどうしても書きたいこと――「私が広報係として大切にしてきた思いとそこから学んだこと」についてお話しさせていただきます。

学芸大学陸上部では、部員一人ひとりが何らかの係に所属しています。私はその中で広報係を務め、SNSやホームページの更新、試合でのカメラ撮影、そしてこの「部員コラム」の企画などを担当してきました。広報活動は、普段からご支援くださる方々や応援してくださる方々、さらには卒業生や入学・入部を検討している高校生など、学外の方々に向けて発信するものです。そのため、活動の様子や試合結果を正しく、そして迅速に伝えることが第一の役割だと考えています。しかし私は、それに加えてもう一つ大切にしてきたことがあります。

それは

「結果がすべてと言われるこの世界で、近くにいるからこそわかる努力や、数字に表れない姿を伝えること」

です。写真を撮ってもらうこと、SNSに取り上げられること。そのどんな小さなきっかけでも、選手のモチベーションを高める一助になるのではないか。そう思い、広報を通じて多くの選手にスポットライトを当てることを心がけてきました。これは、学生主体で運営される学芸大学陸上部だからこそ実現できる広報の在り方だと感じています。

一方で、広報係の活動には苦しい瞬間もありました。特に関東インカレや日本インカレでは、選手の姿を撮影するカメラを構えながら、喜びや悔しさの表情を目の前にして、自分がスタンドにいることを何度も悔しく思いました。私は4年間カメラを手にスタンドからインカレを見届けてきましたが、あの時に感じた悔しさや苦しさは、きっと一生忘れることはないと思います。

それでも広報係での経験があったからこそ、選手として輝くことの尊さと、その輝きを支える存在の大きさに気づくことができました。そして何より、「選手として輝きたい」という想いと同じくらいに、「仲間やチームを輝かせたい」と思える学芸大学陸上部に出会えたことを、心から幸せに感じています。

引退まで残りわずかとなりましたが、最後まで広報係として「選手を輝かせること」と「チームを輝かせること」を大切にしながら活動していきます。そして、私は広報係である前に一人の選手です。選手として輝きたいという想いは変わりません。最後の試合では、これまで仲間に向けて当ててきたスポットライトを自分にも当て、胸を張って挑みたいと思います。長くなりましたが最後まで読んでくださりありがとうございました。