【部員コラム】第455回「出会い」

 失礼します。長野県屋代高等学校出身、B類理科専攻3年の山崎璃央と申します。現在女子短距離ブロックに所属しており、400mHを専門としています。拙い文章で大変恐縮ですが、今回このような機会を頂戴しましたので、これまでの陸上人生9年間で印象的だった出会いについて振り返らせていただきます。
 陸上競技を始めたのは中学1年生のときで、かつて100mHを専門種目としていた母にそそのかされてなんとなく始めました。入部当初は下から数えたほうが早いくらいタイムが遅く、初めて人から卑下されることを知りました。また初めての縦社会と、部活動という当時の私にとっては大きな組織に所属することの大変さに疲弊し、グラウンドに行くことが嫌になりつつありました。よく意外と言われるのですが、初対面の人、特に大人数だと委縮してしまってなかなか自分から話しかけることができません。そのせいで当時もなかなかなじめず、辛い思いをしていました。そんなとき、ある先輩がそれを察してくださったのか、声をかけて下さいました。初めは緊張して上手く話せませんでしたが、たくさん話しかけられるうちに徐々に打ち解け、練習以外の面でもたくさんお世話になるようになりました。こうしたさりげない心配りや行動力が、私のように困っている人を救うのだと、今なら分かります。この先輩がいなければ私は絶対に現在まで陸上競技を続けていなかったし、人と積極的に話すような性格にはなっていなかったと思います。私にとって大変貴重な出会いでした。
 それから約2年、進学先を考える時期になり、陸上競技を続けるかどうか決めかねていました。陸上競技には携わりたいと思っていたのでマネージャーでもやろうかな、といった心積もりでした。そこで小学校からの夢である理科の先生になるため、最適だと思った進路選択をしました。高校入学初日、学級活動で自己紹介をおこない、同じクラスに陸上経験者がいることを知りました。彼は会が終わってすぐに私のところにやってきて、部活動の見学に誘ってくれました。彼は陸上競技が大好きで仕方ないといった感じで、その勢いに引っ張られ気が付いたら競技を続けていました。自分でたくさん勉強したり考えたりしてめきめきと成長していく彼は、私にとって文武共に大きなモチベーションとなりました。また、高校2年生のとき、顧問の先生が本学OBに代わりました。それまでなかった先生からのメニューを毎週提示していただき、お陰様で高3の高校総体では自己最高順位、引退試合では自己ベストを更新することができました。この時初めて純粋に陸上競技を楽しむことができました。素晴らしい経験をさせていただいた先生には大変感謝しています。
 大学生活の始まりはなかなか苦しい1年でした。これまでとは比べ物にならないくらいの大きな組織で、素晴らしい実績のある部員に囲まれ、新鮮な気持ちで日々過ごしていました。しかし、初めての一人暮らし、初めてのバイト、書いても書いても終わりの見えない実験レポート……加えて2年の春までに肉離れを4回経験し、初めて挫折を覚えました。何をしてもだめだ、全て中途半端だ、もうやめたい と嘆いていたとき、同期の仲間が献身的に支えてくれました。特に女子短距離ブロックの同期5人には、感謝してもしきれないほどたくさん助けてもらいました。見た目も性格もバラバラ、まとまりがなく落ち着きもない5人ですが、上手くやって来れたのはみんなの人間性の良さによるものだと思います。私はつくづく人には恵まれているなぁと日々実感します。いつもありがとう。
 私は大学で陸上競技を引退します。これまで関わってくださった先生方、友人、先輩、後輩 全ての方に感謝し、これからも出会いを大切にして、残り僅かな陸上競技生活を充実させたいと思います。まとまりのない文章でしたがここまで飽きずに読んでいただきありがとうございます。体調には十二分にお気をつけてお過ごしください。