第482回「嫌われる覚悟」

失礼いたします。

東京都立豊多摩高等学校出身、A類理科4年の山本陽一朗と申します。男子中長距離ブロックに所属しております。この度、部員コラムを執筆させていただくことになりましたので、自分が三年生の秋から四年生の今年の秋まで、陸上競技部の副主務という幹部の一人として活動してきたことの中で意識してきたことについて書こうと思います。最後まで読んでいただけたら幸いです。

 

2022年秋の代交代式を経て、私は東京学芸大学陸上競技部の副主務を1年間務めることとなりました。副主務は基本的に、主務の活動・作業のサポートが主な業務となりますが、第三者視点で幹部活動に参加する、観察することも副主務の重要な役割だと、私は独自に考えていました。幹部は陸上競技部の管理・運営を担うため、部の活動の方向性や諸問題の解決に向けた取り組みの方法などを決定します。そのため、幹部全体で誤った見方をしてしまった場合、陸上競技部の活動に大きく影響を与えてしまうことになってしまいます。その危険性を最大限排除できるよう、自分が第三者視点で意見を聞き、意見を発信していきました。その中で、私は「嫌われる覚悟」をしなければならないと感じたのです。

なぜ、「嫌われる覚悟」が必要なのか。人との信頼関係が重要である中で、なぜそう思ったのか。それは、人間関係を良くすることを重要視してしまうと、正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると正直に言えなくなってしまうと感じたからです。

後者の方は特にです。幹部というのは、他の幹部のメンバーとのやり取りだけでなく、同期も含めた部員とのやり取りが常日頃です。上にも書いたように、幹部による会議においては、意見に賛成が多数の場面でも、常にではないですが、クリティカルシンキングで、あえて反対的な意見を出して、より意見の具体化を図ったり、本音を引き出したりすることで、幹部全体が方向性の一致、考えの内容の全体的な理解につながっていたと感じています。また、幹部は部員が内外の活動で犯してしまった失態等についても言及しなければなりません。なかなか、人を問いただすということは難しいことではあるかもしれませんが、誰かが言わなければ、その間違いやどのようにすべきだったのかを本人が気づくことすらできなく終わってしまいます。そうなってしまうと、再び同じ問題が繰り返されてしまうため、私は先輩・後輩関係なく、間違いは間違いであると直接伝え、何が問題だったのかを一緒に考えることを実践してきました。

しかし、周りの部員からみたら、部員を叱責する厳しい人、先輩にも関係なく怒る人と見ますし、その印象が強く残ります。ただ、自分の中では、「嫌われる覚悟」ができていて、短期的な視点での自分の印象の良し悪しの変化はどうでもよく、長期的な視点で、自分の行動が、部のため、選手のためになるということを考えて活動してきたことですので全くもって後悔はありません。

終わりに、私はこの1年間、陸上競技部の幹部の1人として、運営側の人間になったことで部に対してや部員一人一人に対しての見えてくる視点がかなり広がったと思います。やはり、中心的な立場になってみないと分からないこと、見えてこないことが非常に多くあることを痛感しました。その見えてこないことの多くは幹部の人たちの努力です。そういった点で、非常に貴重で有意義な1年間を過ごさせていただいたと思っています。

「嫌われる覚悟」は時には必要です。嫌われることを恐れて行動できない方が自分にも他人にとっても不利益です。それを強く実感できたことで、自分の行動の可能性を大きく広げました。ネガティブな思考ではなく、ポジティブな思考で。少しの変化で大きく視点を広げられますから、嫌われることをマイナスに捉えるのではなく、プラスに捉えて行動してみてください。世界が変わりますよ。